ブログ/一般歯科

歯が原因でないのに歯が痛い2 (非歯原性歯痛)

 

今回も、前回に引き続き 非歯原生歯痛についてお話しいたします。

・心臓由来の歯痛

狭心症の痛みは通常であれば、前胸部 特に左前胸部から心窩部の漠然とした範囲に起こることが多いですが、左前腕や下顎の歯に生じることもあります。このように狭心症の発作事に生じる痛みを狭心痛といいます。症状が歯痛のみの場合は歯科を受診されることがあります。診断のポイントは発作性に起こることで、特に運動との強い相関が認められるような場合は狭心症の可能性があります。通常発作の持続時間は数分から十数分以内であるが、数時間にわたって続く時は、心筋梗塞が起こっている可能性もあり緊急性があると思われます。 確定診断は、循環器内科に依頼して心電図や冠動脈造影で行います。

・神経血管由来の歯痛

頭痛は、片頭痛 緊張型頭痛 群発頭痛の3種類がありますが、片頭痛と群発頭痛は神経血管性頭痛に分類されます。神経血管性頭痛とは、脳のある部分から突然指令が出て血管を取り囲む神経から血管に向けて炎症を起こすような物質が放出され、血管が腫れるために生じる頭痛の総称であり、三叉神経の支配領域で生じる痛みであるため、頭痛発作中に、関連痛で顔面や歯に痛みが生じることがあります。群発頭痛の特徴をあげます。のたうち回るほどの激痛が周期的に起こる。睡眠中に発作が生じ覚醒する。飲酒で発作が必発。患側顔面に自律神経症状(鼻閉、鼻漏、流涙)が生じる。男性に多く20〜40代で初発する。などがあげられます。有病率は1000人に1人と稀ではないため、我々歯科医師が診療中に遭遇する可能性も高く歯科医師によって診断されるケースが増えているようです。神経内科や脳神経外科への紹介になります。

・心因性の歯痛

心因性の疼痛を精神医学では、身体化 という用語で説明しています。簡単に言えば、ストレスを身体の症状として表出する現象のことです。子供などは、学校に行きたくないと駄々をこねているうちに、本当に頭やお腹が痛くなってしますことがありますが、これがまさに身体化による痛みと言えます。非定型歯痛(AO)が心因性疼痛に分類されます。非定型歯痛の特徴もあげておきます。X線などでは明らかな異常が認められないのに痛みが数ヶ月続いている。40〜50代の女性に多い。冷温熱痛や負荷刺激に対する反応は一貫性がない。歯科治療で改善されず痛みが増悪することも多い。疼痛部位が拡大する傾向がある。鎮痛剤も効きにくい。などがあげられます。原因は未だ不明ではありますが、ほとんどの場合は三環系抗うつ剤に反応があるため治療可能な疾患と認識されています。

前回もお話しましたが、非定型歯痛の場合に歯の神経の治療をしたり抜歯をしても症状は改善しません。原因が確定しないまま、歯の神経の治療や抜歯のお願いはしないようにした方がいいです。しっかり歯科医師に症状を伝え、色々な可能性を相談して治療を受けて下さい。