歯が原因でないのに歯が痛い (非歯原性歯痛)
歯が原因でないのに歯が痛む事がある事をご存知でしょうか。
*上顎洞・鼻粘膜由来の歯痛
歯に異常が無いのに上の奥歯が痛い場合、1番先に疑うのが上顎洞炎(蓄膿)です。上顎洞炎の炎症の波及あるいは関連痛で歯痛が生じます。特徴として、飛んだり跳ねたりしたら奥歯がひびく。目の下や頬の辺りを押さえると痛い。風邪をひいていたり患側の鼻が詰まっている。頭痛があったり下を向いたら悪化する。などがあげられます。急性上顎洞炎の場合、耳鼻科に転院して頂きます。
*筋・筋膜由来の歯痛
わかりやすく言うと、歯軋り・くいしばり(ブラキシズム)による関連痛です。特徴として、痛みは軽度から中等度で、本人が痛い歯を特定出来ない。たたいて響いたり冷たいもの熱いものでしみる事は無い。などがあげられます。顎関節症に準ずる指導や治療を行います。
*神経原生の歯痛
いわゆる神経痛であり、神経線維そのものの異常、あるいは神経線維の塊である中枢の異常によって生じる痛みで、発作性神経痛と持続性神経痛に大別されます。共に激しい痛みを伴うのですが、発作性神経痛は何分も続く痛みは無く代表的なものとして三叉神経痛があります。持続性神経痛は文字通り持続性の痛みが特徴で、下顎神経を完全に切断してしまった場合に生じる 求心路遮断性疼痛 や、ウイルスが神経を障害するために歯に激痛が生じる 帯状疱疹性神経痛などが代表的です。共に大学病院や脳神経外科へ紹介になります。
その他にも、神経血管由来の歯痛、心臓由来の歯痛、心因性疼痛などがあげられますが、次回に説明致します。
大事な事は、歯が原因でない歯の痛みは、いくら歯の治療をしても痛みは取れません。歯科医師との問診で自分の症状や状態をしっかり伝えて、レントゲンなどで歯に異常が無い場合、痛みの原因となりうる事を説明してもらい、非歯原生歯痛と診断された場合は痛くても、直ぐに非可逆性の治療(抜髄や抜歯)を希望しない事も必要かもしれません。