ブログ/一般歯科/小児歯科

母乳は虫歯になりやすいのか? ( 授乳 虫歯 口腔育成 歯並び)

母乳は虫歯になりやすいと思ってる方が多くいらっしゃいます。いつまで母乳をあげていいのか、心配だと言われる方もおられます。

まず一般的に言われる母乳の利点をあげていきます。乳児側にとって、母乳は最適な成分組成で少ない代謝負担に抑えられ、免疫力を高めて感染症などから守ってくれ、小児期の肥満や糖尿病の発生リスクも低下させるとの報告があります。また、母親側にとって、産後の母体の回復促進や体重の戻りの促進や母子関係の良好な形成などに役立っています。

では、乳児の口の中の事について述べていきます。一般的に母乳育児を長く続けていると虫歯になるイメージから、母乳は虫歯になりやすいという印象があるかもしれません。しかし、少なくとも生後6ヶ月間は母乳だけで育てた方がその後虫歯が少なく、12ヶ月間はメリットがある事が明らかになっています。ただ、離乳が始まると気をつけなくてはなりません。母乳に含まれている乳糖は、それ自体から虫歯になることは基本的に無いのですが、離乳が始まり砂糖を含む食品を食べるようになると口腔細菌も変化して乳糖も虫歯に関わるようになるようです。つまり、離乳が始まって控えるべきものは母乳では無く砂糖を含む食品であるということになります。

また、母乳育児には虫歯だけでなく不正咬合の抑制にも関わっているようです。直接乳房から吸う方が哺乳瓶から吸うより咬む筋肉を複雑に使い、口腔機能発達に差が出て不正咬合の抑制や強い歯の育成に繋がっている可能性があるそうです。母乳育児の方がその後の指しゃぶりが少ない傾向も示されています。

生後早期から哺乳瓶を使用すると母乳がうまく飲めなくなる事もあります。授乳の開始から授乳リズムの確立までは母親も心身の不調や育児不安などを抱えている場合もあり心配な場合にはお医者さんと相談して授乳方法を決めてください。母子2人のペースで授乳してください。

授乳の際はしっかり抱いて、優しく声掛けするなど暖かいふれあいを大切にしてください。栄養方法のいかんに関わらず、授乳を通して健やかな母子・親子関係が作られていきます。

最後にもう一度、母乳だけで虫歯になる事はありません。母乳育児の利点は多いてす。参考にされてください。